「瓦礫ではない」
創世記 13:14 主は、ロトが別れて行った後、アブラムに言われた。「さあ、目を上げて、あなたがいる場所から東西南北を見渡しなさい」。
災地の状況を現わす表現に「瓦礫の山」と言う言葉を聞きます。しかし、そこで生きて暮らしてきた方々にとってそれは、大切な思い出の品、かけがえのない財産です。「瓦礫の山」と言う表現を使うのは、外から見ている人たちの表現なのかもしれません。
アブラムもロトもたくさんの財産を持っていました。しかし、財産を多く持っているということで争いが生じることになりました。そこで別々に暮らすことになりました。どの土地を選ぶかの選択権は、伯父であるアブラムにありました。ところがアブラムは、まずロトに選ばせたのです。アブラムはそれによって人間の目から見るとあきらかに劣る土地で生きるようになりました。ところが神様はアブラムを祝福し、見える限りの土地を与え、子孫を与えると約束されたのです。その土地がどんな土地であろうとも、神様の祝福があり恵みが満ちあふれていたのです。
家財清掃をしていると、アルバムやノート、位牌、仏壇、これまで大切にしてこられた品物を見つけることができます。そのかけがえのない大切な土地をみて、被災者のみなさんはどのように感じておられるのでしょうか。その土地にたち東西南北を見渡して、何が見えているのでしょうか。今は、まだ災害救援の時期です。そしてこれからは救援から、復旧がはじまる¥り、仮設移転となって復興へと向かいます。その間に、自立支援があり、生活支援があります。しかしそこに留まらずに、新しく次につながるコミュニティづくりを目指していかなければなりません。いまが一番難しい時に被災地はあります。そのなかで「瓦礫」ではない「これからも生きていく土地」に目を向けていきたいと願います。東西南北は生きる土地なのです。
神様はロトと分かれたアブラムに「さあ、目を上げて、あなたがいる場所から東西南北を見渡しなさい」と言われました。アブラムがみることのできるすべての土地をあたえ、子孫を与えると約束しておられます。アブラムは神様の約束を信じ、そこに希望を見いだして新しい人生の一歩を踏み出したのです。