2018年8月9日木曜日

「ウソが真実を」

クレヨン牧師のミニエッセイ

「ウソが真実を」
 
 「ウソの研究」という本に、《ウソをつかなければ見えない真実もある》と題して、次のようなことが書いてありました。
 
 「グレース・ハルセンというアメリカの白人女性が、おもしろい実験をした。彼女は生粋の白人だが、薬品によって肌を黒く染め、黒人になりすましたのである。目的は人種差別についての社会的分析。彼女は持ち前の行動力と女性特有の細かい観察力とで、人種差別を身をもって体験しようとした」
 
 このような実験をしたのだそうです。この結果は、「ハンセンが黒人に身をついやしてからまず体験したのは、性的な恐怖であったという。つまり、白人男性が黒人女性に対して、いかに性的に横暴であるかということだった」。この実験の結果わかったことは、「人間は普段いかに平板な現実しか見つめていないことをあらためて思い起こさせてくれました。
 
 相手の立場に立つことの難しさを思います。私たちは、自分が属している社会的な集団のメガネを通してしか物事を見ることはできません。立場を変えてみれば。まったく違った世界がそこに開けているにもかかわらずです。
 
 主イエスが「隣人を愛せよ」と言われたとき、その人のおかれている状況までも理解せよと言われたのでしょう。しかし、その人の立場に立ってみると、自分の知らなかった恵みをも得ることがあるのです。