2019年12月5日木曜日

「相反する気持ち」

クレヨン牧師のミニエッセイ

「相反する気持ち」
 
 「読むクスリ」という本があります。最近出された本に「女性が物を買う4つの条件」というのが書いてあり、楽しく読ませていただきました。みなさんはその4つの条件がわかりますか?4つとは以下のものです。
 
 1、みんな持っているから。
 
 2、誰も持っていないから。
 
 3、やせてみえるから。
 
 4、夫が「買うな」と言ったから。 
 
 どうでしょうか。ここに非常に面白い現象があります。それは1と2です。相反する気持ちをもっておられるということです。「みんなが持っている」というのは極めて日本人的な思考で、安心するということでしょう。しかし、反対に「誰も持っていない」というのは、それだけ稀少価値があるということで、ちょっと自慢できるということでしょうか。人間はいつもこの矛盾の中に生きているものだと言えます。
 
 それでは信仰はどうでしょうか。これもまた同じではないかと思います。「信じる」という思いと「信じられない」というこの2つが、同じ私の中にあるのです。つまり、信仰というものが矛盾しているように思えるのです。しかし、そうかなと考えてしまいます。これは矛盾しているのではなく、実は一つのことの裏表なのです。「信じる」から「信じられない」のです。つまり、信じるために疑うことをするのが私たちなのです。
 
 トマスは「その手足に釘跡をみるまでは決して信じない」といいました。しかし、ほんとは、信じたかったのです。ですから、釘跡を見ずに「わが神、わが主よ」と告白しました。すべては信じるための「信じない」だったのでしょう。